今日は第3日曜日、はじめての定休日だ。本当はインドネシア建国記念日のイベントが神戸であるのだが、さすがに疲れたので遠出を遠慮することにして、移転計画の続きを書くことにする。
本町店をオープンしてからすでに2週間が経過した。7月31日のレセプション当日まで工事が続いていた。本当に予定の8月1日にオープンできるのか誰もが不安に思う事態の中で私達の新しい店は始まった。振り返ってみると、実質の工事期間はナント25日間だった。今年の異常な暑さの中、工事関係者の皆さんの、不眠不休の労働と、スタッフの献身的な努力の賜物だ。
5月末日に融資が決定してから、すぐさまプランを練って、2週間後の6月中旬にはインドネシアへ建築資材や家具インテリア、食器を発注。私が採用業務などで店を離れられないため、弟が買い付けに4日間だけバリヘ行く。第一弾のコンテナには石材だけが搭載され6月中旬にインドネシアを出発するものの、相次ぐ大型台風に見舞われ、予定の7月初旬になっても大阪に到着しない。工事現場も梅雨と台風で、そもそも厳しい日程がどんどん遅れていく。第2弾のコンテナにはチークのドアやテーブル・イスなどの木製家具やインテリア、さらには竹で編んだシートなどの資材が積み込まれ、20フィート2本が7月初めに出航するも、またもや台風に追われてシンガポールで泊まったまま。当初予定していた7月27日オープンは不可能な事態となった。すでに印刷していたポストカードは廃棄して、オープン日を急遽8月1日に変更、版を再度作り直して印刷を発注することとなった。また中部ジャワから輸入する食器類は事前に食品衛生検査が必要なため、コンテナには搭載せずにキュービックで別送し、EMSで送られてきた見本を持って検査所へ急ぐ。検査期間に2〜3週間はかかるからだ。どれもこれも現地調達はしたものの、通関を無事終え現場に到着するのには、まだ相当の体力と時間が必要だ。
新店舗の工事が遅れ気味だったが、予定通り、7月21日の日曜日で長堀店を終了した。日曜日だったのでファンも駆けつけてくれて、最後は恒例のチタチタパーティさながらのダンヅゥットを歌って踊って盛り上がったのだが、心の中には一抹の寂しさとこれからの不安がよぎり、なんだか落ち着かず、開放感に浸りきれない自分がいた。
翌日からは引越しと新店舗の準備に忙しい日々が始まる。しかしこの3年半の間、夜の営業がない日々を経験するのは初めてで、一緒に苦労してきたMURと私にとっては、夜の労働から解放されるひとときに大いに喜びを感じた一週間でもあった。そして同時に暑さと戦いながら肉体労働にあけくれた1週間でもあった。経費節約ための引越しも自分たちでやった。
一番辛かったのは、コンテナで着いた荷物の搬入だった。店の前の道は狭いので、一旦倉庫に搬入されているコンテナの荷物を2台のトラックで現場までピストン輸送。結局トラック43台分にものぼった。丸一日間、炎天下のなかでトラック43台分の荷物を降ろして工事途中の店に搬入するのだから、尋常ではない。チークの家具はどれも重い。そのうえ並行して工事を進めているので置き場所を確保するのも大変。スタッフ7人の若い男性達もさすがにへとへとだ。スタッフ曰く「朝から1リットル以上水分をとっているけど今日は一度もトイレに行かない!」みんな汗に変わっていく。ゴミの処分も大変だ。この1週間は毎日大型ゴミ回収費を支払わなくてはいけない状況だった。
コックもホールもバーテンダーもみんな現場仕事に従事する毎日が続いたが、一刻も早く店を開けられる状態にするために、全員本当によく働いた。ユニフォームが出来あがってくると、逸る気持ちを抑えきれずに、我先に着替えて、それを着たまま帰路に着く。キツイ労働のあとの夕食会は、若さと情熱と団結心で盛り上がった。やはりたくさんのインドネシア人スタッフが一緒に働くということ、しかも自分たちでイニシアティブを持って働くということが、彼らをこれほどまでに生き生きさせることなのかと驚かされるとともに、私もまるで青春の真っ只中にいるようで、たくさんの元気を彼らから貰うことができた。
男性スタッフ達の肉体労働の裏で、私の方はメニューの制作や新しいロゴの作成、保健所への申請手続きやレジシステムの変更など、細かい面倒な仕事がたくさんあった。
8月1日緊張の一瞬、疾風のごとく過ぎたこの2ヶ月、いよいよ新店舗がオープンする。期待通りのできあがりなのだが、やはり不安がよぎる。旧店舗時代のチタチタ会員にはハガキで案内したものの、本町周辺にはまだ何もPRしていない。それどころかPRするためのチラシもまだできていない。予定していた写真入のメニューすら間に合わなかったのだから、これで果たしてお客様が来てくれるのか?
あの日からすでに2週間が過ぎた。最初はあまりの賑わいに気持ちも身体を追いつけず、お客さまにご迷惑もおかけしたが、やっと店も落ち着いてきた。とくにお盆の1週間を夜だけの営業にさせて頂いたので、スタッフも交代で休みもとることができ、私もランチタイムの午前中に休養をとることができたので、今やっと一息ついている。
お陰さまでほぼ毎日たくさんのお客様で賑わっている。そしてレギュラースタッフの動きも意欲的で快調だ。だれもが、お客様がたくさん来てくれる日ほど笑顔が溢れている。忙しさに苦情を言うものはいないどころか、ちょっと暇な日には前に出てお客の呼び込みをしている。そんな姿は清々しいし、私自身も身体は疲れていても、彼らの笑顔と威勢のよさにに引きずれて心も頭も健康を維持できている。サービス業の真髄はこういう状態を言うのだろう。まさに本望だ。もちろんこの状態がいつまでも続くとは思わない。飲食業はまさに水商売なのだから、これからもたくさんの浮き沈みを経験するだろうけれども、私は彼らがこれからも自分の人生を自分の力で切り開いていく人間として成長してくれることを心から願っているし、良いときも悪いときも、互いに協力し、互いに切磋琢磨して乗り切っていくことが出来るように支えて行きたいと切に思う。
でもなんだか不思議な気がする。料理の味も経営者も中心のスタッフも全く同じなのに、なぜこれほどまでに営業に違いが出るのか?やはり飲食は立地と店の雰囲気なのだとつくづく感じいる毎日だ。多くの人々に支えられてこの店を始めることができたことに心から感謝している。人生の様々な勉強させていただいた2ヶ月間だった。
もう少し店が落ち着いたら、今度は裏のバリエステのオープンに着手しなければならない。このオープンを今から心待ちにしてくれているお客様がすでにたくさん存在しているからだ。10月から半年間、大学の講師を引き受けてしまっているので、なんとか9月中にメドをつけなくてはいけない。またまた忙しくなりそうだ。マッサージは自分がしてもらうことは大好きなのだが、経営することとなると話は別だ。すでにある程度は情報を集めているものの、これまた新たな挑戦の始まりだ。しかし立ち止まってはいられない。私が経営に失敗すれば彼らの職を奪ってしまうことになるからだ。正念場はまだまだ続きそうだ。あぁ、バリのチタチタハウスでゆっくりできるのはいつのことやら?! |