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2009年1月14日から18日まで厳寒のアメリカに行ってきました。17日昼までがNYでしたが、アムトラック(特急列車)でNYからフィラデルフィアに行き、1泊。18日の朝にワシントンDCに車で移動。19日の朝にワシントンから大阪に戻ったのです。NYでの仕事を終えてから、最終地のワシントンは「ロバート・フランク」展を見るということが目的でした。ロバート・フランクはスイス出身のアメリカ人。写真家として多くのファンが世界中にいます。 今回は彼の代表作「アメリカ人」をとりあげた展示で、20日のオバマ大統領の就任に併せた形ではないかと思われるようなタイミングです。初の黒人大統領の就任式の時期に、今年84歳になるロバート・フランクのナショナルギャラリーでの展示を見に行くことができる素晴らしいタイミングなので、踊る気持ちを抑えつつ、始めてワシントンまで足を延ばしました。 「アメリカ人」という作品は写真の世界ではスナップショットの金字塔として知られています。1960年代に撮影されたこの写真集は、報道写真が主流だった当時の写真界に、全く違う写真の流れを作り出し、写真の世界のパラダイムを変えてしまった画期的な出来事でした。 報道写真は世界でおこっている様々なことをできるかぎりスピーディに、そして客観的に伝えるということを担い、戦争の世紀だった20世紀の前半を記録し伝え続けたのですが、テレビというメディアが登場する中でその役割が変化していきました。また同時に「ライフ」などを中心としたヒューマニズムが朝鮮戦争やそのあとのベトナム戦争などで疑われ始めていた時期でもありました。 その迷いに満ちた時にまさに新星のごとく登場したのがこの本でした。「アメリカ人」というタイトルですが、当時のアメリカという国が持っている華々しく明るいイメージではない「アメリカ人」がここでは多く登場します。 この本が出たあと写真表現は大きく変わったのです。それまではパブリックな視線でパブリックの利益のために撮影されることが多かった写真が、個人の視線で自分のためへの表現に変わっていったのです。今の写真表現も大きくはその流れに属します。 展覧会ではグッゲンハイムの奨学金を得て1年以上アメリカを中古車で走り回って撮られた様子が地図が表示され、奨学金の申請書まで展示されていました。また、写真家たちは現像したフィルムを印画紙の上に並べてイメージだけを確認するコンタクトシートというのをたいてい作るのですが、それらも展示されていました。写真集に登場しているイメージは全体のほんの一部なのですが、コンタクトシートには全カットがあるので、彼が何にシャッターをおしたのか、またどのイメージを選んだのか、どのようにトリミングしているかがわかるのです。 ナショナルミュージアムの展示ではまるで写真集「アメリカ人」が解体され分析されていたかのような内容だったのですが、その隣の広場では大統領就任を祝ってのコンサートが開催されていました。ブルース・スプリングスティーン、スティービー・ワンダーからビヨンセまで新旧のアメリカを代表する歌手たちが登場していました。私は広場に設置された大画面で彼らが歌っている姿を横目で見つつ、この展覧会を見た後、ワシントンの友人の家に荷物をとりに帰ったのです。 ワシントンには全米からアメリカ人たちが続々と集まって来ていました。この時期ワシントンではホテルをおさえるのが至難の業で私は空港の近くで、街からは遠いホテルがやっととれたという感じでした。 この展覧会はサンフランシスコMOMA、NYのメトロポリタン美術館に巡回します。アメリカ人が「アメリカ人」について再考しているこの時期に、この展覧会が巡回するんだと思うと、美術が生活に近いところにあるアメリカを感じずにはいられませんでした。 サードギャラリーAya 綾 智佳 Looingin:RobertFrank'sTheAmericans http://www.nga.gov/exhibitions/frankinfo.shtm |
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著者プロフィール: 綾 智佳 (あや ともか) |
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