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| 僕は当時仕事も親もほっぽりだしてフランスに行き、日本を長いこと留守にしていた。 そう、あの頃の僕といえば、ただ自分のいる環境がどうにも我慢のできるものではなく、それでもその環境に過剰適応してしまう自分がいて、一見何でもそつなくこなしつつも、外と中の自分が完全にずれてしまいその齟齬がどうしようもないところまで来ていたのだと思う。発狂寸前だった。ちょっと大袈裟か....。 兎に角、僕は外れた道を、たとえ岩がむき出しでがたがたでも、雨が降ってぐちゃぐちゃにぬかるんでいても、その道をいける所まで行ってみようという気に
なっていた。自暴自棄というか、がむしゃらというか、若気の至りとはこういうことなんだろう、きっと。 とにかくフランス語など全くできないのにフランスの大学留学試験を受けて、フランス語が堪能な友人に頼んで訳してもらった『なぜフランスで写真を学びた
いか』の仏文を完璧に暗記して、全く関係ない解答欄にギューギューに押しつめて書き込んだ。 美しい町だとは聞かされていたが、エクサンプロヴァンスは本当にすばらしいところだった。その頃日本人の若い女性の間では南仏がブームになっていた(ピーター・メイルの『プロヴァンスの12か月』が火付け役となった)が、僕は全くそれとは知らず中世の町並みが残るおもちゃのようなかわいい町と周囲にひろ
がるオリーウ゛とぶどう畑、そして今もなお僕に憧憬の念を抱かせてやまないあのモンサンウ゛ィクトワール山(あのセザンヌが幾度と描いた山としてあまり
に有名)がどこからでも見ることのできる魅力的な土地に、住みはじめることになる。 ■展覧会のお知らせ Francoise Nunez(フランソワーズニュネズ)写真展ー砂と水のベール 6月18日(日)まで Gallery OUT of PLACE
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著者プロフィール:野村ヨシノリ Gallery OUT of PLACEディレクター 1959年奈良県山添村で生まれる。 1987-92 大阪、奈良で内科の医者として働いていたが、全く医者としてのアイデンティティをもつことができず、 99年冬から医者の再研修をし、’03年夏まで故郷の奈良の田舎で内科医として働く。 2002年秋 2004年秋 帰国。 2005年3月17日、Gallery OUT of PLACE開廊。
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