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Vol.6 美の用 陶芸家 林 秀行

通常「用の美」という言葉はよく耳にします。
柳宗悦たちの民藝運動では「用の美」を求め、「民衆的工芸」の中に「美」を見出し、最後には駒場の「日本民藝館」に結実しました。

「美の用」という言葉はまず聞かないし、語呂も悪いのですがあえて今回は「美の用」ということばを使いたいと思います。 この奇妙な言い回しは林秀行さんと話をした際、林さんから出た言葉です。
林さんは今春、ギャラリーこちゅうきょ(東京)で「掌上の筥展」という展覧会を開きました。

1937年京都・五条坂に生まれた林秀行は彫刻家を目指し、京都美大の彫刻科を卒業しました。1964年から98年の解散の年まで前衛陶芸グループ「走泥社」の同人として一貫して現代陶芸の道を突き進んできました。
その林さんが今春、小さな美しい筥(はこ)をつくりました。
それらの筥はオブジェとも見てとれる「筥」です。

かつて、走泥社の展覧会に出品した数々の大作と比較するととても小さい。
が、迫力は負けていない。そこで美の用が出てくるのである。 美しいものにはその物の用があるのではないか、という次第である。
実際、ギャラリーこちゅうきょで求められたお客さんから『筥を置いた空間が一変した』との感想が聞こえてきたようです、
これこそが「美の用」ではありませんか。

美しい物には用があり、空間を変えるだけの力があります。
作家の林さんも私もそのように考えて新作の「筥」をご紹介したいと考えます。


Arts & Crafts Cita Cita
有川春代